前科者(漫画) 5巻あらすじ感想をご紹介します。
佳代の恋の行方は?
明日世界が滅ぶとしても保護司を続けますか?
前科者(漫画) 5巻あらすじ
保護司の阿川佳代は、新聞配達のバイトとコンビニを掛け持ちして生計を立てている。
保護司は犯罪を犯した「前科者」の更生と社会復帰を手助けするための仕事である。
しかし、報酬は一切ない。いわばボランティアのようなものだ。
佳代は今日も銭湯のチケットと牛丼を用意して、前科者を待つ。
佳代の恋
傷害事件で少年院から出所した16歳の少年・田口は佳代のことを好きになったと告白。
真面目に仕事をし、夢を持っている田口はとても前向きな好青年だ。
佳代も田川にひかれていくが、保護司と前科者という立場でしかも相手は未成年。
悩む佳代だったが、みどりは佳代の恋を応援する。
一方みどりは、佳代の父と男女の関係であることを認める。
自分の気持ちに素直に生きるみどりは、佳代が咎めても全く意に介さない。
後日、父が佳代を訪ねてくる。
父は「男を怖がっている」「過去にあったことから逃げられずにいる」とみどりのことを話し、支えてやってくれと佳代に頼む。
佳代は、父がみどりのことを本気で心配していると感じる。
傷害事件の被害者・津軽が田口を恨み、もう一度暴行の罪を着せようと企む。
津軽は「貧乏人は性根が腐っている」「性根を入れ替えろ」と田口を挑発する。
しかし、佳代が「好きだから暴力をふるってほしくない」と田口を止め、計画は失敗に終わる。
去り際に捨て台詞を吐く津軽。
苦虫を噛み潰したような顔の津軽を見たみどりは、「人生は金ではなく人」だと諭す。
思いもよらない状況で、田口に自分の思いを打ち明けた佳代。
2人の思いは通じるが、保護観察官に呼び出され「公私混同だ、責任はどうするつもりだ」と咎められる。
佳代は「責任なんてとらなくても構わないし、最初から責任なんてない」と答え、田口が二十歳になったら交際すると宣言。
保護観察官はしぶしぶ承諾するが、「私が世間の目で見ていることを忘れないように」と佳代に釘をさす。
明日世界が滅ぶとしても
「更生について思うこと」
作文コンクールの選出をしていた佳代は、面白い作品を見つける。
世界はどんどん悪くなる。
そうすれば犯罪者が増え、更生する人がいても追い付かない。
そうしているうちに世界が滅びる。
だから更生に意味はない。
全ては無駄。
この作品を書いた高校生に興味を持つ佳代だったが、いちいち首を突っ込むなと忠告される。
ある朝、佳代が新聞配達をしていると、この作品を描いた女子高生・かすみと偶然知り合う。
佳代が作品のことを話すと、かすみは次のように問う。
「明日世界が滅ぶとしても保護司を続けますか?」
佳代は「はい、もちろん」と答える。
かすみは「本当は世界なんか滅ばないし、だらだらと世界が続く」ことを知っている。
だが、それが辛いと言うのだった。
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前科者 (5)前科者(漫画) 5巻 感想
田口がなぜ暴行罪で少年院へ行ったかのくだりは描かれてないです。
なので津軽の恨みとかよく分からないのですが(暴行されたからただ恨んでいたのかもです)、津軽も全くの悪というわけではないように思います。
みどりが「嫌な顔をしているのだったら、(あんたは)金が全てではないってことを分かっている」と津軽に言うのだけど、ここで津軽が嫌なやつだけではないってことが分かるんですね。
こういう描き方上手いよなーと思います。
田口の「前科者」としての人物像は、家族は普通にいい人だったり仕事も真面目にして佳代と恋愛関係にあることから、わりと普通の若者として登場していると思います。
大人に対して不信感を持っていたりはありますが、みどりや亜美、多実子のように極端な生活環境に置かれていたものではなさそうですし。
ただ若さゆえのまっすぐさが善にも悪にも傾くのかなと、田口のことを解釈しています。
佳代は保護司として成長はしていますが、誰が見ても佳代という人物に魅力を感じるかというとそうではないですし、ダメなところとかもあります。
特に今回恋愛がらみになって、佳代の浮かれっぷりとか人間らしい部分を見ました。
みどりは突拍子もないし倫理観に欠けた部分はありますが、自分に素直で物事を見抜く目がある。
それぞれ1人で完璧ではなくて、佳代とみどりが紆余曲折しながら(ほぼ佳代が右往左往してますが)成長しあっていっているわけです。
そうだ、その後の佳代と田口ですが、普通に保護司と前科者として会っているようです。(あまり描写として出てきませんが)
1巻の例えを用いると、満月な人間はいなくて、みんなどこか欠けている。
それぞれ足りない部分を補い合っていくことが大事ってことで、現実にもリンクするなと思います。
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前科者 (5)