ガリレオシリーズは原作未読、ドラマ・映画はすべて視聴済みです。
ネタバレ・辛口意見もありますので、大丈夫な方のみご覧ください。
沈黙のパレード感想 総評
予告で何となく察してはいましたが、サスペンス推理ものというよりは人情ものに近い印象が残りました。
湯川先生が検証する現象が1つのみなので余計にそう思うのかもしれません。
登場人物が多く、多角的に事件を見ていくことになりますが、それぞれの背景・心情が描き切れていない部分があると感じました。
尺的にも難しいのでいろいろ工夫されているとは思いましたが、人物の掘り下げについてはいまいちかなと。
湯川先生と内海の関係性は変わることがなく安心しました。
大画面や音響、演出は映画的手法をフルに使っているなと思います。しかし話としてはそこまで派手ではない気がする。
一番面白いと感じたのは、蓮沼を尋問しようと思った住民と殺害しようと思っていた住民の絶妙な食い違い。
罪を認めさせたかった人々と、絶対殺す必要があった人。殺すほうに転がってもおかしくない人。
ここの心理描写がめちゃくちゃ重要なのでもっと見たかった。それぞれのバックボーンがもう少し掘り下げられていたら共感する部分が増えたかもしれない。
2回目の視聴で取り調べを見ると新発見あるのでは?と思うんだけどどうだろう。
沈黙のパレード感想 登場人物など
沈黙
今作のキーワード。
蓮沼が黙秘することを沈黙ととらえていたけれど、見ていくうちにそれだけではないなと気づきました。
菊野市の人々の沈黙、新倉の沈黙…いろんな沈黙にそれぞれ意味があり、隠された真実がある。
この映画全体を通し、静(沈黙)と動(パレード風景や人々の激情)をうまく使い分けているなと思いました。
パレード
菊野市のお祭りで、盛大に開催される。
のど自慢大会も行われている。
菊野市のお祭りパレードは圧巻。
見ていて単純に楽しいし、当映画のエンタメ性がここに集結されているなと思います。
ただ、この裏で蓮沼尋問計画が進められていたわけですが。
「チーム菊野」の晴れやかで生き生きしたショーに隠された、裏の顔とのギャップを楽しむシーンでもあります。
コロナ禍の撮影だと思いますが、手間を考えたらすごいなと思わざるを得ません。
湯川先生
天才物理学者。
刑事の内海薫に依頼されて事件捜査に参加する。
湯川先生が教授になってた!
残念なことにお得意の数式を書くシーンがなかった。それもそのはず、そこまで込み入ったトリックはなかったので目当てに見てると肩透かしを食らった感じもする。
湯川先生ファンの方はかなり満足ではないかと思います。
相変わらずの湯川節とスタイルの良さが際立っています。
パレードを楽しそうに撮影する先生にほっこりしました。
個人的には草薙との絡みをもっと見たかったところ(ガリレオΦのノリが好きなもので)
湯川先生だからこそ草薙に進言し、真実を明かさねばと考えたのでしょう。
結果的に、湯川先生のおかげで助かった部分もあったしね。
湯川先生の推理シーンはよかったけれど、そこに至るまでの過程があまり見えず残念。
内海薫
難事件の謎解きを湯川先生に依頼する。
湯川先生の理解者。
湯川先生との会話の応酬は相変わらず秀逸。
湯川先生が内海に甘いところがあるという面白さは相変わらず。
ただ、今作ではそこまで出張っていない気がする。
湯川先生の完全なるバディは相変わらず。
草薙
湯川先生の大学時代の同僚で、内海薫の先輩。
15年前の少女殺害事件を担当。蓮沼が無罪になり悔やんでいる。
冒頭でいきなり嘔吐する草薙。
過去の事件で蓮沼が犯人だと確信しながらも、完全黙秘のせいで無罪となったことにトラウマを持っていての嘔吐ですよね。
自分が過去に苦い思いをしているだけに、菊野市の住民の気持ちが痛いほど分かる…草薙の苦悩も見どころのひとつかなと思います。
草薙が悩みすぎて、作品全体のトーンもダウンめでした。
蓮沼
15年前の少女殺害事件で無罪(完全黙秘)
3年前に行方不明になった沙織殺害事件では完全黙秘+証拠不十分で釈放。
釈放された後、菊野市へ戻ってくる。
蓮沼は完全なるクズに描かれています。
なみきやに現れた蓮沼の不気味さがすごい。
15年前の事件についてはよく分からないままです。女の子の母親の異母兄のフラグのみなのね。
まあ、掘り下げる尺はないか…
沙織の血液が蓮沼の作業着についているのは証拠品にならないのだろうか?
完全黙秘していると証拠品があっても罪に問えないの?
しかも、警察の最初の推理では、完全黙秘を貫けたのは自分が無罪だからじゃないか、ということだったけれど、結局殺していたしどういうことなの?
納得いかないなぁ。もやもやが残ります。
新倉の奥さんをゆするためにわざわざ菊野市に帰ってくるんだけど、3年前なぜあそこにいたのか。
沙織を気に入ってるようだったので後をつけていたのか…それはそれでぞっとする。
もしくは、なみきやで恥をかかされたため恨んでいたのか。
沙織をさらって殺害までの経緯が全く分からないので想像の域を出ませんが。
新倉夫妻
菊野市に住む音楽家夫妻。
のど自慢大会で沙織の才能を見出し、デビューまで面倒を見ていた。
のど自慢会場で手をつなぐシーンはとても印象的ですが、初見では沙織が出場した時を回顧しているのかなと思っていました。
あとで時系列を考え直したとき、あれは蓮沼を殺したという夫婦だけの秘密の合図だったことを知り、「そういうことか」となんかアハ体験的な爽快感を感じる。
作中に沙織との絡みがもっとあれば、新倉の奥さんが沙織をとっさに突き飛ばしたことにも説得力があるのかなと思いました。
あのシーンだけだと、奥さんは別に沙織に嫉妬してないし(むしろ応援していたとしか思えない)、もちろん嫉妬の件に関しては沙織の勘違い、もしくはとっさに出た言葉だろうけれど、こじつけ感はぬぐえない。
激情にかられなければ教え子を突き飛ばしたりはしないだろうし、救急車を呼んだと思うので、よほどの地雷が奥さんにあったのだろうと察せられますが。
ただ奥さんは、その後もなみきやに行っている(自分が殺したと思っているのに)…心理的にやばいのでは。
中盤までは住民に溶け込んでいたけれど、椎名桔平と檀れいのコンビ、何かあるとは思ってました。
沙織
なみきやの長女。歌手を目指していた。
3年前に失踪し、遺体で発見される。
冒頭のシーンだけ見ればめちゃくちゃいい子なのに…と思ったのですが、終盤に沙織の真実が明かされます。
新倉の奥さんとの会話ではちょっと生意気な小娘感が凄かった。
あれだけよくしてもらった新倉夫妻に感謝の言葉もなく、いきなり「やめます」というのはあまりにもひどくないかい?
しかも「やっぱり分かってくれなかった」「嫉妬している」なんてそれは思い込みではないのかい?
だからと言って殺されていいわけではないですが。
髪飾りに血がついていなかったからといって、絶対にあの時に出血していない保証はないのでは?
あと、新倉の奥さんが髪飾りを大事に保管していたのもよく分からない。
沙織の彼氏
会社員
ゴメン…最初犯人かと思ってたわ。
だって意味深にアップになるし、おどおどしてるし(片棒は担いでいましたが)
沙織が妊娠したことは知らなかったっぽい?すごい仲良しなのに、沙織も先に彼氏に相談すればいいのにと思った。
彼氏が口を滑らせたせいで、住民たちの企みが暴かれるのがなんか切ない。若さゆえの甘さでしょうか。
沙織の妹
なみきやの看板娘
ミスリード要因かと思います。
事件現場を橋の下から見てたり、あれだけ先生先生言ってたのにプイっとそっぽを向いたり。
客の腹痛になぜ妹が駆けつけなければならなかったのか?謎です。
個人的には★3でした!(MAX★5で)