哀愁しんでれら　あらすじ感想　リアルと寓話のミックス作

哀愁しんでれらのあらすじと感想です。

• あらすじ
• 考察
• 感想

こちらについてご紹介します！

哀愁しんでれら　あらすじ

児童相談所で働く小春（土屋太鳳）は、10歳の時に母親に捨てられた経験を持っています。

そのトラウマから「母親は子供を捨ててはいけない」という固定概念を持ち、子供を虐待する親を軽蔑しています。

小春の父は小さな自転車屋を営んでおり、受験生の妹、祖父とともに古い家でつつましく暮らしていました。

ある晩、祖父が倒れ、慌てて車に乗せて病院まで行く途中に父親が事故を起こし、さらに父親の消し忘れた蚊取り線香で店が火事を起こしてしまいます。

小春は彼氏に泊めてもらおうとアパートを訪ねるますが、彼氏は小春の職場の先輩と浮気中。

アパートを後にした小春は夜道をさまよううち、踏切の上で寝ている男を偶然助けます。

彼は泉澤大悟（田中圭）という開業医で、妻を亡くし8歳の娘のヒカリと二人で裕福な暮らしをしていました。

大悟は助けてくれたお礼にと、小春にドレスや靴を買い、店が焼けてしまった父には葬儀屋の仕事を紹介し、妹には勉強を教え、祖父を質のいい病院に転院させてくれます。

優しくてお金持ちで自分の家族にもよくしてくれる、王子様のような大悟。

大悟の一人娘のヒカリとも打ち解け、小春はヒカリが好きな男の子の名前（わたる）を大悟に内緒で教えてもらいます。

ヒカリの誕生日に小春は手作りの筆箱をプレゼント。

大喜びするヒカリを見てヒカリの母親になろうと決意します。

大悟のプロポーズを受けた小春は幸福そのものでした。

しかし結婚生活が始まると、小春は少しずつ違和感を感じ始めるようになります。

3人が暮らす豪邸には鍵のかかった部屋がありました。

その部屋は大悟のコレクションが飾ってあり、毎年描き続けている自分の肉体のスケッチや、子どものころに買っていたウサギの剥製、小春たち3人の描きかけの肖像画もありました。

ヒカリが学校でわたるに筆箱を取られたと言ってきました。

大悟と小春は学校に掛け合いますが、まともに取り合ってもらえません。

校医である大悟はインフルエンザの集団接種について打ち合わせに行きました。

小春がひとりになった時、ヒカルの担任がやってきてこう言います。

「お弁当を作ってもらえないので泣いている」と。

小春は毎日ヒカリに手作りのお弁当を持たせています。

ヒカリの行動に疑問を持ち始めた小春。

その晩、わたると母親が謝るために家に訪れます。

しかし「やってない」と言い張るわたる。

大悟はわたるのことを「嘘つき」といい、親に対しても見下したような発言をします。

小春は、大悟におねしょのことやヒカリがわたるを好きな事など、「ヒカリに口止めされていたこと」を話してしまいます。

ヒカリがこっそり聞いているとも知らずに。

大悟は「わがままを聞いてやってほしい」と小春に言います。

これ以降、さらにわがままと嘘がひどくなっていくヒカリ。それに手を焼く小春。

小春は高級老人ホームに入所している大悟の母を訪ねました。

そこで大悟が子供のころいじめられていたこと。

「何もしてくれない」といわれて大悟を叩いたこと。

そのせいで大悟の左耳が聞こえにくくなったことを聞きます。

家のトイレが詰まり、業者に修理してもらいます。

詰まっていたものは、以前に小春がヒカリにプレゼントした筆箱でした。

小春は無言で、筆箱を海へ捨てます。

ある日、わたると仲がいい女の子（くるみ）が、教室の窓を開け、太陽を観察しながらわたるを待っていました。

教室には背を向けて本を読んでいる女の子だけ。

くるみの背後に近づくヒカリ。

その晩、その女の子が亡くなったのでお通夜に行くことになった小春は、黒い靴を履くようヒカリに言いますが、赤い靴を履くとわめくヒカリ。

仕方なく赤い靴で参列し、その葬儀屋で仕事をしていた父親に赤い靴を咎められます。

その帰りにファミレスでゲームをするヒカリ。

ヒカリは「くるみちゃんは邪魔ばかりするからゲームオーバーになっちゃったんだね」と呟きました。

勝手に小春の化粧品を使ったりとやりたい放題のヒカル。

大悟に相談しても、ヒカリの肩を持つばかりで相手にされません。

おにぎりにわざと五円玉を仕込んだ小春は、ヒカリに弁当の感想を訪ねます。

普通に「おいしかった」と答えるヒカリ。

大悟の部屋でスケッチを見ていた小春は、自分の顔が塗りつぶされているのを発見します。

その時ヒカリが突然部屋に入ってきて、驚いた小春はウサギの剥製を落として耳を折ってしまいます。

ヒカリが「パパに言ってやろう」と大声で騒ぎ立てた、小春はついにヒカリの頬を叩きます。

小春はヒカリを抱きしめ、大悟には内緒にしておいてほしいと言い、ヒカリも了承したように思えました。

しかし夕飯の時、大悟が怒り始めます。実はヒカリが大悟に告げていたのでした。

「小春の努力が子供の将来を決めるんだよ！母親失格です」

大声で怒鳴り散らす大悟に家を追い出され、去ろうとする小春を泣きながら引き留めるヒカリ。

自分の子供のころとヒカリが重なりますが、それを振り切って家を後にしました。

線路に横たわり、3人での生活を思い出しながら目を閉じる小春。

そこに大悟が駆けつけ、小春を救い出し家に連れて帰ります。

3人の肖像画がついに完成し、リビングに飾られます。

ヒカリが泣きながら帰宅しました。足が泥まみれです。

大悟と小春は学校に行き、ヒカリの靴を盗んだ犯人探しをしようとします。

職員室に行った大悟と小春は教頭と話をしていたとき、わたるが入ってきて「くるみちゃんを突き落としたのはヒカリちゃんだよ。俺見たんだ」と言います。

小春は「うちの子がやるわけない」ときっぱり言いますが、実は心当たりがありました。

「くるみちゃんはゲームオーバーになった」とヒカリが言ってたことです。

ヒカリに問いただしたところ、ヒカリは泣きわめいて否定しました。

「学校に行きたくない」とヒカリが荒れ狂う様子を見た大悟は、自分の部屋からコレクションを運び出し燃やしてしまいます。

「ヒカリ以外はいらない」と。

自宅はスプレーで「人殺し」と落書きされ、石が投げ込まれ、2人は苦悩します。

小春はとあることを思い出し、大悟に話します。

大悟とヒカリを守るために…。

次の日、大悟は校医としてインフルエンザの集団接種を学校で行います。

小春は助手として付き添っていました。

ヒカリのクラスメイトの番になった時、女の子から手紙をもらう小春。

接種がすべて終了し、手紙を読んだ小春はそのまま手紙を捨てていきます。

手紙には「ヒカリちゃんは殺してないよ。みんなわかってる」と書かれています。

注射の中身はインシュリンでした。

小春の父親がインシュリンを打っていて「1ml打つだけで死ぬ」ことを、大悟に話したのでした。

校内に児童の遺体があふれかえる中で、ヒカリだけの授業が始まります。

先生は美しいドレスを着た小春、大悟はそれを嬉しそうに見守っています。

哀愁しんでれら　 疑問と考察

疑問に思ったことや、それに対する考察をしてみました。

すべてあらすじに書いているわけではないので、こちらで初見の情報があるかもしれません。

大悟と小春の出会い

そもそも、飲んで線路に倒れていたのがすでに変ですよね。

ホントにあのままだと死んでたんですから。

それに、命を投げ出してもいいほど大切にしているヒカリが夜広い家に一人でいるってこと自体がおかしくありません？

前妻の亡くなった理由

確か、浮気相手と事故死でしたっけ。

大悟の恩師は「ひどい女」と言っていたので、当てはまるんですけどね。

でも大悟を見ているとなぜか引っかかりを覚えます。

点滴

点滴打ったことないからしてくれって言う小春がもう意味が分からないです。

なんだろう…医者の妻になった実感をわかせるため？

その後点滴シーンが何度か出てきますが、疲れた時に打っているようです。

小春の結婚指輪

小春がヒカルの弁当を作る時、おにぎりを握る前に結婚指輪を外していました。

その後失くしてしまい、小春が血眼になって探したけれど出てこず。

結婚指輪について大悟に聞かれた時、小春はごまかすために「置いてある」って言ってました。

大悟が小春を踏切から助けた時に、小春にはめた結婚指輪はなに？だれのもの？

ヒカリの弁当

捨てている描写などはありませんでした。

ただ、食べていないのに「おいしかった」と言っているのは間違いないので、捨てているのでしょう。

小春やヒカリも左耳を押さえるのはなぜ？

大悟の聞こえにくくなった左耳。

たまに押さえているんですが、なぜか小春やヒカリも同じしぐさをします。

大悟の内面のゆがみが、小春やヒカリにもリンクしているのでしょうか。

変わりゆく小春の父親

最初は渋っていた葬儀屋の仕事をいきいきとしている小春の父親。

給料が良いと言っていたのでそれが理由でしょう。

さらに「最初は抵抗があっても、次第にその場所に麻痺してくる」と言っていますし。

ただ、妹は大悟に偏差値のことで色々言われていると言っていたので、まだ染まっていないのでしょうね。

大悟はなぜ小春を助けたのか

自分から追い出しておいて、なぜ踏切に小春がいると分かったのでしょうか？

わたしは分かりませんｗ

大悟が小春に執着するのをみるに、大悟なりに小春を愛していたんだとは思いますが。

ヒカリの母親として愛しているということかな（闇を感じる）

本当にヒカリが殺したのか？

これはねー、正直分からないんですが、たぶんやってないと思います。

というのも、くるみが転落した時に教室で本を読んでいた女の子が「殺してない」という手紙を小春に渡しているからです。

わたるはなぜ「ヒカルが突き落とした」と言ったのか？

それはわたるが筆箱のことで濡れ衣を着せられたこと、くるみのことが好きだったからだと推察しています。

さらにくるみ自身もわたるについて「嘘つき」と言っているのです。

母親も自分の子がやったと思い込んで謝罪に来たことを考えると、わたるが嘘つきだったのは間違いないと思います。

ただ疑問も残りまして、わたるが告発しただけで家に落書きされるのに、女の子は「殺してないのはみんな知っている」と書いているんですよね。

たかだか1日でみんなの考えが変わるのか？という疑問がありますね。

接種を素直に受ける理由

前項からの疑問に続くのですが、ヒカリが本当に殺していたら、その親が関わる接種なんて受けたくないと思いませんか？

さらにモンペの親だし、親が受けさせないと思うのですが。

なのにみんな素直に受けている。

でもその前日には家に落書き。（落書きの様子からして子供の仕業ではない）

変です。

ラストシーンの意味

個人的な考えですが、たぶん3人とも死んでいるのではないかと。

生徒と同じ方法で。

3人の授業風景は死後の世界とか幻想なんじゃないでしょうか。

キャッチコピーの「なぜその女性は、世間を震撼させる凶悪事件を起こしたのか」は、当人が死んでいても話題になりうるものですから。

大悟の性格ならうちの子はやってないと自信持って言ってるはずだし、なんならわたるに対して名誉棄損で訴えると思います。

ヒカリの名誉を回復させると思うんですけどね。

もしくは引っ越しすれば、ヒカリは学校に行ってくれると思うし。

ヒカリを学校に行かせる＝生徒の死って極端すぎるｗ

彼らにはこれしか方法がなかったのか。

矛盾を感じますが、画的には寓話じみてていいなと思います。

哀愁しんでれら　感想

なんというか…ちぐはぐなエピソードが詰まっている映画でした。

最初はコント（小春の実家でハプニングが起こりまくるところ）で次は恋愛もの、中盤から一気にダークな展開に。

タイトルはシンデレラだけど、内容は母親になった主人公。

幸せな結婚をしたけれど、その後日談はダークでした、ってことなんだとは思いますが、なんとなくズレがあるように思います。

全編に渡って「子どもを全力で守るのが母親だ」って印象が強い、って言うかこれがテーマですし。

小春は、玉の輿に乗った女性が結婚相手の子供に翻弄されるが、夫には聞いてもらえず…という妙にリアリティのある人物です。

裕福だけど、子どもに気を使い、夫に気を使い、しっかりした母親にならなくてはとプレッシャーを背負い、だんだんイライラ欝々していく様子があるある過ぎて怖いｗ

小春は母親に捨てられたことがトラウマだったのに、ヒカリのことは切り捨てて。

もちろん苦渋の決断だったのでしょうが、その後に大悟に救われてここが自分の場所だって思ったのでしょうかね。

あ。もしかして大悟とヒカリの作戦？いやいやそんなことは…

その後しっかり大悟の考えに染まり、率先して靴を盗んだ犯人探しをするあたり、洗脳に近いものを感じます。

大悟は他の親のことをモンペだと言ってたけれど、アナタもモンペですよと思ってた（笑）

ただね、大悟もいじめられていたトラウマがあったので、いじめとかに対して敏感なのはわかる。

大悟はヒカリの前でもあいつは馬鹿だとか言っている父親なので、それを見たヒカリがゆがんだ子になるのは当然と言えば当然だし。

「 小春の努力が子供の将来を決めるんだよ 」ってきつくないですか。

大悟のゆがんだ考え方は怖いですよ。

怒鳴るし、なんか圧があるし。

田中圭さんはこういう役上手いなーと思って見てました。

色々書きましたが、物語への引き込み方や、ラストどうなるの？っていう興味は引っ張ったまま見ることができたので、普通に面白いと思います。

でも考察が全然捗らない（笑）

ほぼ疑問を持ったまま終わったからｗ

色々考えるのも楽しいけれどｗ