前科者(漫画) 1巻あらすじ感想をご紹介します。
それそれの思いや悪意が複雑に絡まり合う人間模様に、ハラハラドキドキして一気に読んでしまいました。
かなり読みごたえがある1冊です。
前科者(漫画) 1巻あらすじ
保護司の阿川佳代は、新聞配達のバイトとコンビニを掛け持ちして生計を立てている。
保護司は犯罪を犯した「前科者」の更生と社会復帰を手助けするための仕事である。
しかし、報酬は一切ない。いわばボランティアのようなものだ。
コンビニの店長に嫌味を言われながらも、保護司として前科者に向き合う佳代の意志は固い。
兄殺しの石川二朗
佳代は、実の兄を殺した前科を持つ石川二朗の担当になる。
二朗は婚約者を兄に寝取られたため、計画的に殺害したのだった。
仮釈放され、家を訪ねてきた二朗に銭湯と牛丼を振る舞う佳代。
温かいお風呂と温かい食事。
これは佳代の保護司としてのルーティーンだ。
二朗は兄の墓参りで坂本という知り合いに会い、「愛子(婚約者)が兄を誘惑した」と聞かされる。
翌朝、荒れる二朗だったが、佳代の心遣いに少しずつ心を開き始め、坂本に言われたことを打ち明ける。
二朗は佳代と一緒に、弟分に当たる丸雄を訪ねる。
丸雄に愛子と兄のことを訪ねるが、「それは愛子に対する坂本の逆恨みであって、真実ではない」と言われほっとする。
愛子との再会
帰宅中に二朗は、5年ぶりに愛子に再会する。
愛子を裁判に巻き込みたくなかった二朗は、愛子と別れていたのだった。
愛子は一朗(兄)の墓参りに来たという。
愛子についている若い男に嫉妬心が出て、思わず「俺は人殺しだ」と叫ぶ二朗。
二朗をかばう佳代に、愛子は店の名刺を渡す。
二朗は、自分のために心を砕いて接してくれる佳代と打ち解けてくる。
一方佳代は、愛子が来たのは偶然だったのか怪しんでいた。
佳代は愛子の店へ行き、「二朗と会わないでほしい」と愛子に頼む。
愛子も了承するが…
二朗のアパートで坂本に会った佳代は、
「二朗が帰ってきたことを愛子に教えたのはあなたか」と問うが、明確な返事は貰えない。
ただ「意地悪」をしたかった、一朗(兄)は悪いやつではなかったと佳代に語る。
愛子の嘘と真実
いつも通り帰宅した二朗のアパート前で愛子が待っていた。
二朗と愛子は一夜を過ごす。
翌朝、二朗のアパートを訪ねた佳代は、愛子と一緒にいるところに出くわす。
しかし佳代は、二朗の支えになるのだったらいい、(保護司の自分では)かなわない、と愛子に伝える。
愛子の店を訪ねた二朗は、愛子に冷たく接され思わず「お前が兄を誘惑したのか?」と聞いてしまう。
愛子は「一朗とは二朗より先に付き合っていた」と嘘をつき、さらに一朗との間にできた子どものことも話す。
深く傷つく二朗。
しかし真実は、一朗にレイプされ、そのあとに妊娠が発覚。
二朗との子の可能性もある、と信じた愛子はひとり出産するが、生まれてきた赤ちゃんの顔は一朗にそっくりだった。
一朗の子どもを育てている愛子は、愛する二朗と一緒になることはできないと、冷たい態度を取ったのだった。
真実を知った佳代は「話すことで力になりたい」と、二朗に話すことを渋る愛子を説得する。
佳代は二朗に全てを話すが、意気消沈した二朗の様子がおかしいことに気づく。
二朗は、最初に悪意で嘘をついた坂本を殺そうとしていた。
二朗は佳代に制止され冷静さを取り戻そうとするが、坂本の「クズが」に激情し、刺してしまう。
二朗の仮釈放は取り消しとなり、傷害罪で逮捕される。
愛子は今度こそ二朗を支えたいと決意し、子どもと前を向いて歩いて行く。
▼DMMブックスで試し読みできます。
前科者 (1)前科者(漫画) 1巻 感想
非常に濃い人間模様が描かれています。
伏線の貼り方や感情の変化も緻密で読みごたえがあります。
絵柄はサンプルを見ていただければ。
好みはあると思いますが、内容にあった堅実な雰囲気の絵柄だなと思います。
前科者がテーマということで暗いイメージになりがちですが、ところどころにクスッと笑えるシーンもあります。
前科者と佳代の交流や更生がメインで描かれてはいますが、佳代自身の悩みや葛藤も赤裸々に綴られています。
佳代の祖父が保護司をしていたのがきっかけのようですが、佳代の過去にも何かありそうな気がしますね。
地味で真面目だけど型にはまらない部分もあり、佳代がどう前科者を導いていくのかという部分も面白いと思います。
佳代が不器用ながらも全力で前科者に向き合っていく様子は、こちらまで勇気づけられるような気持ちになります。
更生しようとする二朗を、「ちょっとした意地悪」の積み重ねで踏みにじる坂本が本当にヤなやつ。
二朗を「犯罪者」「人殺し」と罵り、平気で嘘をつく。
犯罪はしてなくても、その悪意は許されるのか。佳代と同じ気持ちになりますね。
丸雄は良くも悪くも普通の人。欲には弱いけれど犯罪を犯すのは怖いタイプ。
基本的に人がいいと言われるのではないかな、と思います。
愛子は最初から二朗が好きだったんですね。
最初は愛子何考えてるの?と思いましたが、読み進めるうちに「二朗に対する優しい嘘」が理解できてきました。
彼女だってこの5年間必死で生きてきたんだなあ、戦っていたんだなと思います。
そうだ、あらすじには書いてないけれど、愛子が二朗が帰ってきた日に偶然会ったのは本当に偶然だったらしいです。
二朗は真面目でお人よし。
情報に翻弄されて、愛する愛子の嘘さえ見抜けなくなっている。
前科者になり、世間の見る目が変わり、信じる縁がなくなり何を信じていいか分からない。
最終的には嘘をついた坂本へ怒りが向けられてしまいました。
嘘を信じたのは二朗自身なんですけどね。
でも愛子がずっとそばにいればきっと変わっていたのかもしれません。
二朗は逮捕されてしまいますが、今度は愛子が寄りそう心強さと未来への希望を感じました。
ちょっとドロドロしているけど、ラストは結構爽やかでした。
前科者(漫画) 1巻あらすじ感想 まとめ
あらすじだけダーっと書いていますが、細かいところまで読んでほしい漫画です。
情報量が多すぎる漫画を久々に読みました。
いいエピソードがてんこ盛りですので、ぜひ漫画で楽しんでくださいね。
▼DMMブックスで試し読みできます。
前科者 (1)